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記事: ナイロン・レーヨンは乾燥機で縮む?ダメな理由と失敗しない乾燥方法

ナイロン・レーヨンは乾燥機で縮む?ダメな理由と失敗しない乾燥方法

黄色いナイロン製のジャケット

ナイロンやレーヨン素材の衣類を乾燥機にかけていいのか迷っていませんか?

同じ化学繊維でも性質が大きく異なり、判断を誤ると取り返しのつかない失敗につながります。洗濯表示の読み方から縮んだ時の対処法まで、データに裏付けられた実践的な情報をお届けします。

【結論】ナイロンとレーヨンの乾燥機、使える?使えない?

ナイロン素材:洗濯表示次第で低温使用OK

  • 市販品の約4割は低温設定で乾燥機使用可能
  • ただしスポーツウェアやストッキングは注意
  • 80度以上の高温や長時間使用は15%から20%縮む

レーヨン素材:基本的に乾燥機NG

  • 市販品の95%以上が乾燥機使用不可
  • 水を含むと強度が半分以下に低下
  • 熱で8%から15%縮み、質感も失われる

縮んでしまったら?

  • 完全に元に戻すのは困難
  • ナイロンは水に浸して伸ばす方法で多少改善の可能性
  • レーヨンは特に回復が難しい

パッと見て分かる!乾燥機OK・NG判断チャート

ナイロン・レーヨン製の服タグ

STEP1:洗濯表示タグを確認

  • 四角の中に丸が描かれたマーク(タンブル乾燥マーク)を探す
  • ×印がついている → 乾燥機NG(自然乾燥へ)
  • ×印がない → STEP2へ進む

STEP2:素材の混紡率をチェック

  • レーヨン50%以上 → 乾燥機NG(平干し推奨)
  • ナイロン70%以上 → 低温で短時間なら使える
  • その他の素材が中心 → STEP3へ進む

STEP3:製品タイプで最終判断

乾燥機NG:

  • ニット製品
  • ストッキング・タイツ
  • 中綿入りアウター

低温で慎重に:

  • スポーツウェア
  • 薄手のアウター

表示に従えばOK:

  • カジュアルシャツ(混紡)
  • 綿混紡のパンツ

迷ったときは自然乾燥を選ぶのが安全です。

なぜナイロンとレーヨンは乾燥機に弱いのか

ナイロンが縮むメカニズム

ナイロンは石油から作られる合成繊維で、熱可塑性樹脂という性質を持ちます。80度以上の熱に長時間さらされると繊維の分子構造が変化し、15%から20%程度縮みます。日本化学繊維協会のデータによれば、乾いても濡れても比較的強度を保ちますが、高温には弱い特徴があります。

縮む条件:

  • 80度以上の継続的な加熱
  • 長時間の乾燥
  • 繊維の分子が再配列

安全に使える条件:

  • 60度以下の低温設定
  • 20分から25分程度の短時間
  • 7割程度で取り出して自然乾燥と併用

レーヨンが縮むメカニズム

レーヨンは木材パルプから作られる再生繊維で、3つの大きな弱点があります。

弱点1:水で強度が半分以下に

繊維学会の研究では、水分を11%から14%吸収すると強度が半分以下に低下します。濡れた状態で乾燥機の回転を受けると繊維が傷みやすくなります。

弱点2:水で膨らんで変形しやすい

水を含むと繊維の断面積が3割増加します。この状態で熱風を受けると不均一に乾き、型崩れや毛羽立ちが発生します。

弱点3:熱で元の形に戻り縮む

製造過程で引っ張られた状態で固定されているため、80度以上の熱で元に戻ろうとして5%から15%縮みます。日本繊維製品品質技術センターの試験では、縦方向に8%から15%、横方向に5%から12%の収縮が確認されています。

日本繊維製品品質技術センターの調査では、ナイロン製品の6割、レーヨン製品の95%以上が乾燥機使用不可となっています。

洗濯表示の見方と判断基準

洗濯表示タグ

乾燥機マークの基本

2016年12月から洗濯表示が国際規格に変更されました。四角の中に円が描かれたマークが乾燥機(タンブル乾燥)を示します。

マークの見方:

  • 四角と丸のマークに×印あり → 乾燥機使用禁止
  • 点1つ → 60度以下の低温乾燥OK
  • 点2つ → 80度以下の通常乾燥OK

素材表示のチェックポイント

繊維製品品質表示法では、5%以上含まれる素材の表示が義務付けられています。

確認ポイント:

  • レーヨン50%以上 → 特に慎重に
  • ナイロン70%以上 → 低温設定を選ぶ
  • 両方混紡 → より弱い素材(レーヨン)の基準に合わせる

日本衣料管理協会は、迷ったら自然乾燥を選ぶことを推奨しています。

ナイロン製品の乾燥機の使い方

安全に使える条件

洗濯表示に乾燥機マーク(×なし)がある場合の推奨設定:

  • 温度: 60度以下の低温(デリケート・低温モード)
  • 時間: 20分から25分程度
  • 取り出し: 7割程度乾いたところで
  • 仕上げ: 形を整えて自然乾燥

総務省統計局のデータでは、この併用方法で乾燥時間を3割から4割短縮できます。

ナイロン製品を安全に乾燥させたい方は、温度調整がしやすい小型乾燥機の活用も選択肢の一つです。Yoqunaでは3kg・6kgの小型タイプを扱っています。

→ yoquna.comで衣類乾燥機を見る

製品タイプ別の注意点

スポーツウェア: 日本繊維製品品質技術センターの試験では、80度以上の乾燥を繰り返すと吸汗速乾性能が2割から3割低下します。できるだけ低温で使用しましょう。

ストッキング・タイツ: 繊維がとても細く伸縮性が高いため、乾燥機は使用不可です。手押しで軽く脱水後、平干しか吊り干しで自然乾燥させてください。

中綿入りアウター: 外側のナイロンだけでなく中綿の素材も確認が必要です。多くの製品が乾燥機NGとなっています。

レーヨン製品の正しい乾燥方法

レーヨンは原則として乾燥機を使わず、自然乾燥が基本です。

乾燥手順

  1. 脱水は短時間で: 通常の半分、1分から2分程度
  2. 優しく水気を取る: 絞らず手で押すか、タオルで挟む
  3. 平干しか吊り干しで: ニットは平干し必須、シャツは吊り干しOK
  4. 風通しの良い日陰で: 直射日光を避ける
  5. 乾燥時間: 6時間から12時間程度
  6. アイロン仕上げ: 110度から120度の低温で当て布使用

日本ニット工業組合連合会の指針では、レーヨンニットは必ず平干しにし、ハンガー干しは避けるよう推奨されています。

水洗い可能レーヨンの注意点

改質レーヨンは通常のレーヨンより湿潤強度が2倍から3倍高くなっていますが、日本化学繊維協会のデータでは9割が乾燥機使用不可です。水洗い可能と乾燥機OKは別物なので、必ず洗濯表示を確認してください。

製品タイプ別・乾燥機使用可否一覧

製品タイプ

主な素材

乾燥機

おすすめの乾燥方法

注意ポイント

スポーツウェア

ナイロン80-100%

低温で短時間

機能性維持のため低温

ナイロンアウター

ナイロン100%

吊り干し

中綿入りは特に注意

レーヨンブラウス

レーヨン100%

平干しor吊り干し

型崩れしやすい

レーヨンニット

レーヨン80-100%

平干し必須

ハンガー干し厳禁

混紡シャツ

30-50%混紡

洗濯表示を確認

混紡率で判断

ストッキング

ナイロン80-95%

平干しor吊り干し

とても繊細

カジュアルパンツ

混紡50%以下

低温で通常乾燥

綿混紡なら安全

一般財団法人ボーケン品質評価機構の試験基準と日本衣料管理協会の推奨に基づく分類です。

縮んでしまった時の応急処置

ナイロンが縮んだ場合

熱による変化は基本的に元に戻すのが難しいですが、以下の方法を試す価値はあります。

手順:

  1. ぬるま湯(30度程度)に中性洗剤を少量溶かす
  2. 縮んだ衣類を10分から15分浸す
  3. 優しく引っ張りながら形を整える
  4. バスタオルで挟んで水気を取る
  5. 平干しにして時々形を確認しながら乾かす

強く引っ張りすぎると生地が傷むので注意してください。

レーヨンが縮んだ場合

レーヨンの縮みは特に戻りにくいですが、試してみる価値はあります。

手順:

  1. バケツに水を張り、ヘアリンスを入れる(水5リットルに5cc程度)
  2. 縮んだ衣類を30分つけおき
  3. 泡が出なくなるまですすぐ
  4. 洗濯機で30秒から1分だけ脱水
  5. しわを伸ばしながら平干しor吊り干し
  6. 完全に乾いたら110度から120度の低温アイロンで伸ばす(当て布使用、スチームなし)

リンスに含まれるシリコン成分が繊維を滑らかにして、多少伸びやすくなります。

綿やポリエステルなど乾燥機対応素材には、Yoqunaの小型乾燥機が便利に使えます。

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よくある質問10選

Q1:ナイロンとレーヨンが混ざった服はどう判断する?

両方の素材が入っている場合は、より弱い素材(レーヨン)の基準に合わせてください。レーヨンが30%以上含まれている場合は原則として乾燥機を使わず自然乾燥をおすすめします。最終的な判断は洗濯表示マークで行いましょう。

Q2:洗濯表示でOKでも自然乾燥の方がいい?

はい、衣類を長持ちさせたいなら自然乾燥の方が理想的です。日本衣料管理協会の調査では、乾燥機を頻繁に使う場合と自然乾燥を主にする場合で、衣類の寿命に1.5倍から2倍程度の差が出るとされています。お気に入りの服や高価な服は、表示上OKでも自然乾燥を選ぶと安心です。

Q3:ナイロンとポリエステル、どっちが乾燥機に強い?

ポリエステルの方が一般的に熱に強いです。融点はポリエステルが260度程度、ナイロン6が215度程度、ナイロン66が260度程度です。ただし実際の使用では、どちらも低温設定が推奨されるので大きな差はありません。

Q4:キュプラとレーヨンは同じ扱いでいい?

基本的には同じと考えてOKです。キュプラはレーヨンの一種で、銅アンモニア法という方法で作られています。繊維がより細く均一ですが、乾燥機への弱さは同程度です。日本化学繊維協会によれば、取扱いは同等とされています。

Q5:一度縮んだ服は完全に元に戻せる?

残念ながら、完全に元に戻すのはほぼ不可能です。熱による繊維の分子構造の変化は不可逆的なため、基本的に戻りません。ナイロンは水に浸して伸ばすことで多少改善する可能性がありますが、レーヨンは特に困難です。軽度の縮みなら応急処置で対応できますが、大幅に縮んだ場合はリフォーム店に相談するのが現実的です。

Q6:スポーツウェアの機能は乾燥機で落ちる?

はい、高温で繰り返し乾燥させると機能が低下します。日本繊維製品品質技術センターの試験では、80度以上の乾燥を繰り返すと吸汗速乾性能が2割から3割程度低下することが報告されています。スポーツウェアを長く使いたいなら、低温設定にするか自然乾燥と併用するのがおすすめです。

Q7:ナイロンストッキングは絶対に乾燥機NG?

はい、ストッキングやタイツは乾燥機を使わないでください。繊維がとても細く伸縮性が高いため、乾燥機を使うと大きく変形したり破れたりするリスクがあります。洗濯表示でも通常は使用不可となっています。手で押して軽く脱水した後、平干しか吊り干しで自然乾燥させましょう。

Q8:レーヨンニットで特に気をつけることは?

ハンガー干しは絶対に避けてください。ニット製品は編み構造なので織物より伸びやすく、レーヨンニットは特に変形しやすい組み合わせです。日本ニット工業組合連合会の指針でも、レーヨンニットは必ず平干しにすることが強く推奨されています。平干しネットを使うか、バスタオルの上に広げて乾かしましょう。

Q9:小型乾燥機と大型ドラム式、どっちがいい?

ナイロン製品には小型乾燥機の方が向いています。小型乾燥機は容量が小さいため衣類同士の摩擦が少なく、温度管理もしやすい特徴があります。ドラム式は大容量で便利ですが、温度設定の幅が限られる機種もあります。ただし、レーヨンはどちらの乾燥機でもNGです。

Q10:クリーニングに出せば縮まない?

はい、ドライクリーニングなら水による縮みは起きません。ドライクリーニングは有機溶剤で洗浄するため、レーヨンの「水に弱い」という問題が発生しません。日本クリーニング生活衛生同業組合連合会によれば、レーヨン製品の8割程度がドライクリーニング推奨です。高価な衣類や大切な製品は専門店に任せるのが安心です。

失敗しないための最終チェックリスト

洗濯・乾燥を始める前に、以下を確認しましょう。

  • 洗濯表示タグで素材と混紡率を確認:ナイロンかレーヨンか、何%含まれているか把握していますか?
  • タンブル乾燥マークに×印がないか確認:×印があったら、どんな素材でも乾燥機NGです。
  • ナイロン製品で乾燥機を使う場合、低温・短時間に設定:60度以下、20分程度に設定できますか?
  • レーヨン製品は自然乾燥を選択:平干しスペースや干し場所は確保できていますか?
  • 脱水時間を素材に合わせて調整:レーヨンは通常の半分(1分から2分程度)に短縮していますか?
  • 迷ったら自然乾燥を選ぶ:判断に迷う場合は、安全な方法を選びましょう。

これらを実践することで、ナイロンとレーヨンの特性を活かしながら、衣類を長く美しい状態で保つことができます。

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参考文献・出典

  • 繊維製品品質表示法(消費者庁) 
  • 一般社団法人日本衣料管理協会「繊維製品の取扱いに関する技術資料」
  • 日本繊維製品品質技術センター「化学繊維の物性試験報告」
  • 日本化学繊維協会「化学繊維・再生繊維の特性に関する統計資料」
  • 繊維学会「ナイロン・レーヨン繊維の熱挙動に関する研究」
  • 一般財団法人ボーケン品質評価機構「繊維製品の熱収縮試験データ集」
  • 総務省統計局「社会生活基本調査」
  • 国民生活センター「衣類乾燥機に関する商品テスト結果」
  • 日本スポーツ用品工業協会「スポーツウェアの素材動向調査」
  • 日本繊維輸入組合「輸入衣料品の素材構成調査」
  • 厚生労働省「家庭用品品質表示法関連資料」
  • 資源エネルギー庁「省エネルギー性能カタログ」
  • 日本ニット工業組合連合会「ニット製品取扱い指針」
  • 日本クリーニング生活衛生同業組合連合会「繊維製品クリーニング技術マニュアル」
  • 日本アパレル工業技術研究会「フォーマルウェアの素材使用実態調査」